診療案内
悩める患者さんに
“癒し” “安心” “元気”を与えられる場所でありたい
当クリニックの診療についてご案内いたします
甲状腺疾患の診療
こんな症状
ありませんか?
- 心臓がドキドキする
- たくさん汗をかく
- 手がふるえる
- 体重が減る
- 暑がり
- イライラする
- たくさん食べても太らない
- 髪が抜ける
- 下痢
- 目が出る
- 疲れやすい
- 落ち着きがない
- 首が腫れる
- のどに違和感がある
- 生理不順
- 首にしこりがある
- 不妊
- 寒がり
- やる気がでない
- 太る
- からだがむくむ
- 肌が乾燥する
- 肌がカサつく
- からだがかゆい
- 昼間も眠い
- 便秘
- 体重がふえる
- からだがだるい
- からだが重い
いくつかは、日常生活の中で誰もが一度は経験したことがあるでしょう。
すぐに良くなれば問題ありませんが、数か月以上続いている場合は病気による症状かもしれません。
甲状腺の病気の症状は、他の病気の症状と似ているので、間違って診断され治療されていることもあります。
また女性の場合は更年期症状だからしょうがないと諦めている方の中に甲状腺の病気の方も多くみられます。
甲状腺の病気で起こる症状は、専門の治療をおこなわなければ症状がおさまりません。
上記のような症状がある方、治療を受けても症状が治らない方は、一度、甲状腺の検査を受けることをお勧めします。
甲状腺は首の前、のど仏のすぐ下にある蝶々のような形をした臓器で、異常がなければ手で触れることができません。
しかし甲状腺の病気により大きく腫れると触ってわかるようになります。
甲状腺は身体の代謝の調節や身体の成長に必要な甲状腺ホルモンを作ったり貯えたりしています。
甲状腺ホルモンが多すぎると動悸や手の震え、多汗などの症状が、反対にホルモンが少なすぎると気力の低下や寒がり、むくみなどの症状が出ます。
特に女性に多い病気であり、妊娠や出産との関連や影響が強い臓器です。また更年期障害と思っている人の中に甲状腺の病気を持っている方が意外と多いです。
血液の中の甲状腺ホルモンが多くなる病気
- バセドウ病
- 免疫の異常により甲状腺ホルモンを作りすぎてしまう病気です。甲状腺が腫れ、動機、手の震え、体重減少、汗が増える、眼の腫れがでてきます。ほおっておくと不整脈や心不全の原因となります。
診断は血液の中の甲状腺ホルモンの量と、TSH 受容体抗体(TRAb)という免疫タンパク質を調べます。また甲状腺超音波検査で過剰な血流がみられ、併せて診断します。
治療は甲状腺の働きを抑えるお薬(抗甲状腺薬、メルカゾール、プロパジール、ヨウ化カリウム丸)を用います。内服治療で効果不十分の時や副作用があるときには、放射性ヨウ素内用療法(アイソトープ療法)や手術を検討します。
- 亜急性甲状腺炎
- 甲状腺の細胞が壊されて甲状腺に蓄えられているホルモンが血液の中に漏れ出てくる病気です。ウイルス感染が原因と考えられていますが、はっきりとした原因はまだわかっていません。
甲状腺が痛くなりその部分が硬く腫れます。痛みや腫れは時間とともに移動することもあります。動悸や手の震えなどの症状も伴います。血液の中の甲状腺ホルモンの量と炎症反応(CRP)を調べます。超音波検査はこの病気に特有の所見を示すため有用な検査です。
治療は鎮痛剤や炎症を抑える少量のステロイド剤を内服します。
- 無痛性甲状腺炎
- 甲状腺の細胞が壊されて甲状腺に蓄えられているホルモンが血液の中に漏れ出てくる病気です。原因はまだ不明ですが、橋本病に罹っている方や出産後に起こることが多いです。動悸などを伴うこともあります。 診断は血液の中の甲状腺ホルモンの量を調べます。またバセドウ病と鑑別するためにTRAbの値が低いことを確認します。
3〜4か月で自然経過で良くなりますので安静を保ちながら経過をみます。動悸が強いときには動悸止めの薬を使うこともあります。
- プランマー病(機能性結節)
- 通常は甲状腺結節(しこり)は甲状腺ホルモンを作らないのですが、まれに結節が甲状腺ホルモンを作ってしまうことがあります。これがプランマー病です。バセドウ病と似た症状がみられることがあります。診断は放射性ヨウ素によるシンチグラフィーを用います。この検査を施行できる場所が限られておりますので必要に応じて紹介させていただきます。治療方法には手術による摘出術や放射性ヨウ素内用療法(アイソトープ療法)があります。
血液の中の甲状腺ホルモンが少なくなる病気
- 慢性甲状腺炎(橋本病)
- 自分の甲状腺を壊してしまう抗体ができてしまうため、甲状腺を破壊し慢性の炎症を起こします。甲状腺が腫れることが多いです。甲状腺のホルモンの値が正常の時には症状はありません。ホルモンが低下すると無気力やむくみ、寒がりなどの症状がでます。
診断は血液の中のホルモン値や甲状腺を破壊する抗体(TgAb,TPOAb)を調べます。超音波検査でも特徴的な所見を示すことが多いです。
甲状腺ホルモン値が正常の時は治療は不要ですが、ホルモンが低下したときには甲状腺ホルモン薬の内服治療を続ける必要があります。挙児希望の方や妊娠中の方は、甲状腺ホルモンの内服が必要になることがあります。
甲状腺にしこりができる病気
甲状腺のしこり(結節、腫瘍)は人口の30%くらいに認められるといわれています。しこりには良性と悪性の病気があり95%は良性です。超音波検査で大きさや形、硬さを調べ判断します。悪性を疑う場合やしこりが大きい場合には超音波ガイド下穿刺吸引細胞診(採血の時と同じ針を甲状腺に刺して細胞を取ってきて顕微鏡で調べます)でチェックします。良性と診断されても時間の経過で大きくなってきたり、まれにあとから悪性と診断されることがあるため、定期的な超音波検査が必要です。
良性のしこり
- 甲状腺嚢胞
- 甲状腺内に液体の入った袋状のしこりができる病気です。嚢胞が大きくなり圧迫感があるときには穿刺排液(採血用の針を刺して中の液体を抜く)したりPEIT(嚢胞の中にアルコールを入れて縮めてしまう)をすることもありますが、気にならないときは経過観察します。
小学校低学年から高校生では約半数に嚢胞がみられますが、大人になるにつれて消えてしまう方が多いです。ときに嚢胞内に出血し痛みを伴う場合がありますが、数日で痛みは消 失します。
- 腺腫様甲状腺腫
- 良性のしこり(結節)で、エコーで1個だけのものを腺腫様結節、複数個みられ甲状腺が腫れているものを腺腫様甲状腺腫と呼びます。2センチ以上のしこりは穿刺吸引細胞診を行いますが、小さくて悪性を疑わないしこりは6か月ごとの定期的な超音波検査で経過をみていきます。ほとんどのものは大きくなることは少なく、まれに縮小することもあります。圧迫症状が強かったり美容的な問題がある場合、癌の合併が疑われるときには外科治療をお勧めすることもあります。
- 濾胞腺腫
- 甲状腺の良性腫瘍です。超音波検査、穿刺吸引細胞診、血液検査を行っても悪性である濾胞癌との鑑別が難しい場合が多いです。治療ですが、基本的には6か月ごとに経過を観察します。検査上良性にみえても、腫瘍の大きさが4cm以上、触診で硬いとき、経過中に徐々に大きくなっていく場合、などの時は手術療法を考慮します。
悪性のしこり
- 乳頭癌(甲状腺悪性腫瘍の90%以上)
- 甲状腺悪性腫瘍の大部分を占めます。非常にゆっくり進行し性格がおとなしい場合が多いです。治療は基本的に甲状腺の切除とリンパ節の郭清です。手術後の経過は他の癌と比較すると良好です。性格がおとなしいため、癌と診断がついても10mm以下でリスクが低い場合には手術をせずに様子を見ていくこともできます(甲状腺微小癌といいます)。リスクが高い場合(超音波検査などの画像検査で明らかなリンパ節転移があるとき、癌が声帯を動かす反回神経の近くにあるときや気管に浸潤している可能性があるとき)には手術を行います。
- 濾胞癌(甲状腺悪性腫瘍の約 5%)
- 良性の濾胞腺腫と見分けるために超音波検査や血液検査(サイログロブリン値)を参考にしますが、見分けることが困難な場合が多いです。超音波検査で悪性を疑うような形であったり、大きさが4cm以上、サイログロブリンの値が異常に高い場合などは手術を考慮しま す。
- 髄様癌(甲状腺悪性腫瘍の約 1%)
- 腫瘍マーカー(カルシトニン、CEA)が高値になります。また遺伝する場合や他の内分泌疾患と合併する場合があります。遺伝性の場合には血縁者の1/2に同じ癌ができる可能性があるため、検査を受けることをお勧めします。
- 未分化癌(甲状腺悪性腫瘍の約 1%)
- 甲状腺癌の1%程度を占める稀な癌ですが、非常に進行が早く診断がついてから1年以上の生存は少ない病気です。非常に治療の難しい病気ですが、手術や化学療法、放射線療法に加え最近では分子標的薬という薬を使うことで少しずつ回復する方が増えています。
- 悪性リンパ腫(甲状腺悪性腫瘍の約 1%)
- まれに橋本病の方に発病します。甲状腺が腫れて大きくなることで気づく方が多いです。
放射線治療や化学療法を行います。
甲状腺外来でよくある質問
質問をクリックすると、回答を表示します。
- バセドウ病の薬には副作用が多いと聞いたのですが?
- バセドウ病の治療で用いられる抗甲状腺薬(メルカゾール・プロパジール・チウラジール)は有効な治療薬ですが、副作用が比較的多いのも事実です。
かゆみや軽度の肝障害は改善することもあり経過をみていきます。蕁麻疹は薬を使ってコントロールしたり、場合によっては皮膚科で診療します。黄疸が出たり、発熱や咽頭痛があるとき(最も重篤な副作用である無顆粒球症の可能性があります、次のQを参照してください)は、すぐに内服を中止して検査する必要があります。
副作用が起きやすいのは内服開始3ヶ月以内ですので、この間は2週間毎に診察と検査が 必要ですが、プロパジール・チウラジールによる血管炎は長期に内服している方に起きやすいため内服中は定期的に尿検査で確認します。
- バセドウ病の薬を飲んでいます。発熱や咽頭痛があるときは内服を中止しすぐに血液検査が必要と言われたのですがなぜですか?
- メルカゾールやプロパジール・チウラジールを内服中に発熱や咽頭痛があるときには最も重篤な副作用である無顆粒球症の可能性があります。頻度は 0.1〜0.5%なので稀ですが、 放置すると生命の危険がありますので迅速な対応が必要です。
すぐに内服を中止して白血球の検査を行ってください。
- 甲状腺の病気があります。海藻類の制限は必要ですか?
- バセドウ病の場合にはヨウ素を含んでいる海藻類の制限は必要ありません。いつも通りの食事をして構いません。
橋本病の場合にはヨウ素を過剰に摂取すると甲状腺機能が低下する場合があります。毎日多くの昆布を食べ続けたり、ヨウ素を含むうがい薬の多用などはお控えください。
- 甲状腺の病気で声がかすれることはありますか?
- 甲状腺の背面には声帯を動かす反回神経が走行しています。甲状腺の癌が反回神経に浸潤したときには声がかすれることがあります。また手術によりこの神経が傷ついたときにも起こることがあります。
そのほかには重度の甲状腺機能低下症のときには声帯がむくむため声がかすれることがあります。
- 市販の風邪薬に「甲状腺機能障害と診断された人は医師に相談してください」と書かれ ているのですが...
- ほとんどの場合は服用しても問題ありません。 注意が必要なのは、風邪薬には自律神経を刺激する成分が含まれていることがあり、バセド ウ病などで甲状腺ホルモンが高いときには動悸や息切れが強くなる場合があります。甲状 腺機能が正常な方は安心して服用してください。
- 甲状腺ホルモン(チラーヂン S)を飲み忘れたのですが、次の日に倍の量を服用してもよいですか?
- その日に気付いたのであれば気付いた時点で服用してください。翌日に気づいたときには、前日分は内服する必要はなく当日分だけ服用してください。
妊娠中は胎児の成長に甲状腺ホルモンが不可欠なので、内服忘れには特にお気をつけください。
- バセドウ病で治療中ですが、運動してもよいですか?
- 甲状腺ホルモンが高い状態のときは心臓に負担がかかりますので運動の制限が必要ですが、甲状腺ホルモンが正常化すれば運動の制限はありません。
- 疲れが取れないのですが、甲状腺ホルモンを多く服用すれば回復しますか?
- 甲状腺の病気で症状が出るのは、甲状腺ホルモンが高すぎたり低すぎたりする場合です。
治療により甲状腺機能が正常に保たれた状態(血液中の甲状腺ホルモン値が基準値内)で、症状が出ることはありません。甲状腺機能が正常なのに疲れやすいときには別の疾患などが隠れている可能性がありますので、服用量を増やすのではなく、きちんと診察・検査を受け てください。
- 橋本病です。赤ちゃんを考えていますが気をつけることはありますか?
- 甲状腺機能低下症は不妊、流産、早産などのリスクになりますので、妊娠前より甲状腺機能を正常に保つ必要があります。妊娠すると母体の甲状腺ホルモンの必要量が約1.5倍になりますので、甲状腺ホルモンの服用を開始したり服用量を増やしたりすることがありますので、定期的な検査が必要です。一般的には妊娠時には妊娠中期までは1ヶ月おきに受診していただき甲状腺機能をチェックさせていただいています。
- バセドウ病で薬を服用しています。妊娠しても大丈夫ですか?
- 妊娠初期にメルカゾールを服用していると、わずかに胎児に影響が出ることがありますので、妊娠中は他の治療薬(プロパジール・チウラジール・ヨウ化カリウム丸)に変更します。 また妊娠中に甲状腺ホルモンが高かったり低かったりすると流産・早産のリスクが高くな りますので、妊娠前および妊娠中は甲状腺機能を正常に保っておくことが大切です。
▲
上に
戻る
© KOTANI Internal Medicine and Thyroid Clinic. All right Reserved