全国的に感染者が増加しておりましたが、最近になり数字上は減少傾向になっておりますが、はたしてそうなのでしょうか?
今現在起きている状態について私見を述べてみたいと思います。
あくまで私見ですので、これが真実かどうかは分かりません。参考程度に受け止めてもらえればと思います。
◎岩手県では本当に感染者が減っている?
先週の前半までは岩手県でも感染者数が増えていましたが、その後は減少傾向になっています。当クリニックでも陽性者数は明らかに減ってきています。
ただしこれは陽性率が下がっているわけではなく、診察に来る患者数が異常なほど急激に減少しているためであると思います。
毎日30-40人受診していた発熱や風邪様症状の患者さんが、ここ数日は10名前後、少ない日は一桁になっています。
どうして急激に減ったのか?と思ったのですが、これはある出来事を境に起きていることに気づきました。
「全数把握の見直し」の発表です。
岸田首相が発表した翌日から、パタッと検査に来る人が減っていますが、おそらく勘違いされている方が多いのではないかと思います。
重症者や高リスク者のみ届出をするというのは、高リスク者以外は検査をしないという事ではありません。
症状の強弱や、高リスクかどうかは関係なく感染が疑われる患者さんは検査し、今まで通り治療を行いますが、我々医療機関が保健所に届け出る作業(HER-SYS)が簡素化させるという事です。ですので、皆さんは特に変わることはないのですが、一部の方は「受診してはいけない」と思っているのかもしれません。または「もう検査して陽性を確認する必要はなくなった」と勘違いしているのかもしれません。
ご存じのように、自宅療養で回復する方がほとんどだというのは事実です。ただしもっとも警戒するのは高齢者や基礎疾患のある方が重症化したり、中等症で療養していた方があっという間に状態が悪化し亡くなることだと思います。
我々、検査を請け負っている診療所レベルの医療機関では、患者が少なくなれば負担は軽くなるのですが、もし気がつかない間に感染者が爆発的に増加していた場合に、高リスク者たちが感染する機会は爆発的に増え、不幸な結果になる方が増えることが予想されます。入院や重症者を受け入れる医療機関はすぐに医療崩壊に陥るでしょう。
我々医療機関は以前と何も変わらず診療しておりますので、自分たちで自己判断せず、診察してほしい、検査をしてほしい、と思った方は遠慮しないで問い合わせてください。
◎政府の考えていることが、よく分かりません
「全数把握」に対して誤解しているのではないか?と書きましたが、どうして政府は国民に向けてこの発言をしたのか分かりません。
医療機関の負担を減らすことを考えるのなら我々医療機関に伝えれば良いはずで、大々的に発表する必要はなかったのではないかと感じます。その結果、誤解が生じている可能性もあります。
一度、HER-SYSの入力項目が少し減ったことがありましたが、その時は全く発表されなかったのに、今回はなぜ?って感じです。
政府?首相?の仕事をしていますアピールでしょうか?
何となく責任を国民に投げて自己判断させて、何となく収束させようとしているのでしょうか?
保健所や医療機関の負担軽減と言いますが、見えないところで感染者が増えれば、感染予防のために積極的に検査をしている医療機関や介護施設などのスタッフが陽性者となったり濃厚接触者となる確率は今とは比較にならないくらい増加するでしょう。そうなればスタッフ数が減り病床使用率が低くても運用できない状況が生まれます。
医療機関等では他の職場と異なりかなり厳しい制限を課し生活している方が多いと思います。それでも感染者が増えれば自宅待機になる確率は増し、医療崩壊の方へ向かってしまうでしょう。
「全数把握」を止め、本当の意味での「withコロナ」にするのであれば、自宅待機の制限や、濃厚接触者の考え方など、併せて考えないとさらに混乱する状況になるのではないかと感じています。
「全数把握の見直し」のような小手先の変更ではなく、根本的な感染症対策の変更を考えて欲しいと真に願っています。
未知のことなので正解はありません。ご機嫌取りではなく自分の信念を貫いてリーダーシップを発揮してください。
進むべき方向が間違っていても素直に認めて方向転換すれば私たちはついていきます。
支持率ばかり考えないで、本当に患者さんや我々医療関係者である国民のことを第一に考えて下さい。
◎ただの風邪、鼻かぜ程度と思っている方へ
風邪というのはウイルス性の上気道感染症ですので、ある意味、新型コロナウイルスも風邪の範疇に入ると思います。誇張する気はありませんが、どのような疾患でも甘く見ていると重症化したり亡くなることもありますので注意は必要です。
COVID-19では、厚労省からガイドラインが出ていますが、その中で軽症と言われているものを挙げてみます。
☑ 呼吸器症状なし or 咳のみで呼吸困難なし
☑ 肺炎所見を認めない
☑ 酸素飽和度が96%以上
となっています。
これは、以前の株では呼吸不全で亡くなることが多かったため、呼吸器症状を中心に分類されています。
ですので、「喉が痛すぎて飲食するのも嫌だ、どうにかしてくれ」であるとか、「咳が全く止まらない、夜も咳き込んで寝られない」、「熱が下がらなくて心配・・・」といった電話問い合わせが連日きますが、いずれも軽症となります。
呼吸困難がなければ、これらは軽症の範疇に入ってしまいますので、そう伝えると、「全然軽症じゃない・・・」と驚かれます。
罹らないことに越したことはないです。感染を広げないために、また苦しい思いをしないように、初めから言われ続けている最低限の感染対策を守る努力を宜しくお願いします。